弘前駅前のホテルで目覚めたのは午前6時。パンツ一つでベッドに大の字状態。脇を見たら,つまみと缶ハイボール (500mL) が手付かずで置いてあった。仕方がないので迎えてしまおう,そうしよう。おっさんの休日はこうでなくてはいかん。ってことで,朝からいい気分になった次第。7時頃に朝飯食って,8時にはホテルを出る。本日の行動予定は以下の通り。
8/30(日)
弘前 8:36 →(JR 奥羽線)→ 青森 9:25
青森 9:34 →(青い森鉄道 快速八戸行き)→ 野辺地 10:15
野辺地 10:18 →(JR 大湊線)→ 下北 11:03
下北駅 11:10 →(JR バス)→ 恐山 11:53
恐山 15:00 →(JR バス)→ 下北駅 15:50

りんごの風@弘前駅前

今日もそこそこいい天気のようだ。

さて,今日も行くか!@弘前駅改札口

今日はまずはこれ!

ゴトゴトと列車は青森へ。青森からは,...

これに乗る。青い森鉄道の歴史など調べてみると,えらく若かった(笑)。野辺地で大湊線に乗り換える。

こんな線路を走って行く。電柱も電線もない線路。

ホノボノとした車内。結構,多くの乗客が恐山までご一緒した。それにしても,ボーッと車窓からの景色を眺めているのは一種の瞑想状態であり,様々なことが頭の中に浮んでは消えて行く。経験はないものの,座禅というのはこういうものなのかも知れないと思ったり。見知らぬ土地に,見知らぬ人々の暮らしがたしかにある。もし仮に,自分が今見ている家に生まれたとして,どんな人生を送っているのだろうか?などと考えてみるのも何やら深いような気もする。本を読んだり,写真を撮ったり,車外を見つめて瞑想に耽ったり,...。なにやら,退屈しないぞ,ローカル線の旅。もっとも,朝呑んだハイボールが昨夜の酒の残りを刺激して,ふわふわした気分がずっと続いているのだが(笑)。
ふと外を見れば,なにやら見覚えのある景色が,...。3年前に爆弾低気圧による暴風の中を走った道が線路の直ぐ脇を走っている。あ,あれは,たしか雨宿りしたバス停じゃないか?あれは,たしか,ボトルに水をもらったお店,...。懐かしいなぁ(笑)。

海が見えてきた。隣のボックスのおばさん(おばあちゃん?)4人組も恐山に向かうのだろうか?あの世はあるのか?なんて話を始めた。本を読みつつ,「安心してください。もうすぐわかるだろうから,..」などと内心でつぶやいてみるのも,いとおかし(笑)。

下北駅に到着。あまり時間もないのでゆっくりと写真撮る暇なし。

あれが恐山往きのバスらしい。駅のコインロッカーに荷物預けてなんて考えていたけど,ロッカー見当たらず,しかも時間の余裕なし(苦笑)。

出発!片道 800 円なり。途中の経由場所に「まさかりプラザ」なるものがあって,ああ,下北半島だ!と思わずニヤッとする。街中を過ぎて山間に入ると,恐山の由来などの解説テープが流れる。恐山は今から約1200年前に慈覚大師円仁によって開かれた霊場だそうだ。下北に辿り着いた円仁の眼前に,宇曾利湖(うそりこ)を中心にして,釜臥山,大尽山,小尽山,北国山,屏風山,剣の山,地蔵山,鶏頭山の八峰が回り,火山性ガスの噴出する岩肌の一帯が広がっていたと。そして火山地帯は地獄に,湖を取り巻く白砂の浜は天国に例えられ,千年の長きにわたって信仰の対象とされたらしい。

バスはどんどん山中に入って行く。急勾配はないので自転車で走っても楽しそうだ。

恐山冷水というバス停がある。運転手が停まってくれるので,みんなで水を飲む。一口飲めば寿命が10年伸びるらしいので,ペットボトルに入れて沢山飲んでやった(笑)。
ピークを越えて下り始めて暫くすると,周囲の景色が急に開けた。

宇曾利湖である。なんでも,水質は強酸性(当然か)で,そこに生息できる魚はここにしかいない種類のウグイ一種だとか。

なに橋だったかな?

到着。なんだか,イメージしてたのとちょっと違う。

総門の背には宇曾利湖が広がり,周囲には八峰が,...。

バスの待合所には案内図が。まさかりの部分のほぼ中央。

本音を言えば自転車で来たかった(苦笑)。

500円の参拝料がかかる。この写真の右手に食事処があるのだが,そこで荷物を預かってもらえる。


これが総門。ここも瓦の寄進とかあるのね(苦笑)。

門を入ると,こんな感じ。右が寺務所。左の赤い屋根のところに,いたこの口寄せ云々の看板があったような,...。

これが山門。意外に新しくて,...。

山門を潜ると,こんな景色が左に見える二棟の建物が「女湯」で,右端の半分切れている建物が「男湯」。

ここに入った。入浴シーンは後ほど(笑)。

これが一番奥の本尊安置地蔵殿。以前に岩木山神社を訪ねた時に,奥に行くに従って,ズンと重く感じたような空気感は感じられず,少し拍子抜けした気分。もっと,何か凄い感じがすると思ったんだけど。周囲が開けているせいかな?この地蔵殿の左の方に,草木のほとんど生えていない荒涼とした火山地帯の岩場があり,それが様々な地獄になぞらえられている。




ほんの一部であるが,こんな具合である。まさに,寂寥という感じ。そして,..

亡くなられた人々の魂とかより,故人を偲ぶ生きている人間の「思い」の強烈さ,執着心のようなものに肌が粟立つようなものを感じた。こんなことを書くと叱られるかも知れないが,亡くなってからもある意味大変である。とはいっても,オレ自身,亡くなった祖父,祖母,親父を思い出しつつ数個の石を積んできた。火山性の軽石のようなもので,その軽さ故に雪やら強風やらで崩され,また翌年積み直すことを千年もの間続けてきたのかも知れない。

本尊安置地蔵殿の裏側からの霊場恐山のほぼ全景。この景色を見たら,やはり,ここはこの世とあの世の接続地点かも知れないと思うかも。

供えられた賽銭は火山性ガスで真っ黒に変色しているものがほとんど。水蒸気が噴き出していたり,触れないほどの高温のお湯が湧き出していたり,...。


由来はよくわからないが,こんな看板が至る所に,...。

そして,極楽に例えられる宇曾利湖の湖畔,..。

白砂の湖畔はたしかに火山地帯からの対比では極楽かも知れない。

千年という歴史と,こういった新しい地蔵様との間のギャップが埋め難く,..。

展望台という看板に釣られて行ってみると,..

こんな景色が,...。
とまぁ,いろいろなことを考えつつ,ゆっくりと巡ってみたら1時間半ほど経過していた。売店でお守りを一つ買ってから,そこのおばさんに勧められた風呂に入ってみる。
地蔵殿手前の左が男湯の「薬師の湯」である。ガラス戸を開けてみるとおじいさんとお父さん,子供の三人が入っていた。早速,汗を流させてもらう。

こんな感じでシンプルな「ザ・温泉」という感じ(笑)。

湯は熱くなく,温くもなく,ちょうどいい感じ。

脱衣所と浴槽の間に扉すらないシンプルな作り。右手の窓から時々覗いて行く人あり(笑)。暖まり方が半端ない。お陰で汗が引かなかった。

なでら男の入浴シーンである。先客がいなくなったので,セルフタイマーで撮ってみた(笑)。
入浴後は暫くボーッとして汗が引くのを待つ。午後2時を過ぎたので,腹も減ったので,何か食ってから帰ろうと総門に向かったのだが,ふと思い付いて寺務所へ。

こんなものを頂いてしまった。なにしろ,初めての経験なのでお坊さんにいろいろと訊ねつつ,御朱印帳を購入して(恐山オリジナル)。今度は岩木山神社に行って,御朱印もらおう。
荷物を預かってもらった食事処に行って,軽く食事してからバス停へ。臨時のバスが3時に出るようだ。本を読みつつ時間を潰す。

少し雲が出てきたようだ。昔は,ここまで歩いてきたんだろうなぁ,..。

4時少し前に下北駅前に到着。

往きはバスの発車まで間がなかったので,撮り損なった下北駅舎。なんでも,2009 年に駅前の再開発事業が終了したとかなのだが,駅前には目ぼしいものは何もなく,お陰で晩飯にえらい苦労する羽目に,..(苦笑)。
ホテルのレストランみたいなところで食事をしようと思ったら,今日はどこぞのグループが使うので貸し切りだとか。で,食事処のマップのようなものをみれば,目ぼしい店は駅前には一軒もなし。最低でも片道2キロ。歩くかなぁと思い,しばらく歩いてみたが,なにしろゴーストタウンのように道をあるいている人がほとんどいない。しかも,何もない様子に嫌気が差して一端戻って,逆方向に10分ほども歩くと地元のスーパーがあった。こういうところだとパックの寿司なども一味違うのでは?と思い,適当に見繕ってホテルに戻って軽く呑みつつ食事。ここまで来て少々侘しい食事にちょいとがっかりしたり。部屋のテレビから流れるサザエさんが侘しさに拍車をかける(苦笑)。この場所なら,やっぱり楽しみは海鮮だよなぁ。

徒然なるままに,窓の枠にカメラを固定して超秒露光で大湊方面の夜景を写してみた。右の高い山が釜臥山で,ここからむつ市の夜景を見ると,湾を取り巻く夜景が,さながらアゲハチョウのように見えるとか。夜のアゲハチョウと呼ばれているらしい。レンタカーでもあれば,酒を呑まずにチャレンジしたけれども,..。
そんなこんなで二日目終了である。明日と明後日は本来の目的のセミナー参加。なので,お遊びは今日まで。
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