昨年に比べて,走行距離は少ないし,体重は2キロほども増えているし,..。二週間後に迫った宇都宮の山岳ブルベが不安で仕方がない。昨年は,運良く完走できたものの,S代表には完走率を上げようという気などサラサラないかのように,今年もさらにグレードアップしたコースを用意されたようだ。そんな訳で,宇都宮山岳200kmに匹敵するくらいの過酷な山岳コースを設定し,平均 15 km/h をクリアして走り切れるかどうかを試してみることにした。
「重さと運動」に書いたように,コースは以下の如し。ちゃりけん氏が設定した GFF(グランフォンド福島)でもいいのだが,獲得標高が全然足りない。そこで,金澤峠までの登りと,旧米沢街道の大塩&蘭峠を加えたコースにした。
ルートラボによれば,距離 250km,獲得標高 5700m ほどになる。スタート/ゴール地点までの自宅からの往復を入れれば,260km程になる。マシンは軽量さを優先させることも考えられたが,ここは一つ厳しい条件を課そうと,重い NAKAGAWA にフロントダイナモハブホイールをセットして,常にライトを点灯させて走ることにした。
気持ち的には4時スタートだったのが,なんだかんだやっていて,実際のスタートは5時少し前だった。適当に走って,米沢興譲館高校の辺りからコースに合流する。R13 が大嫌いで,あそこを 1m たりとも走りたくないので,水窪ダムから下って,ブドウまつたけラインに入るのは回避して,米沢工業の辺りを通って,途中からブドウまつたけラインに合流。セゾンファクトリーのところからの丘越えをこなす。先が長いのでペースは抑え気味。今日は念のために 27T のスプロケを装着している。
陽が昇ってきたが,なにやら福島県との県境には不穏な雲が,..
ブドウまつたけの丘越えをサクッとこなして,下りに入る。朝練らしきローディとすれ違う。次に向かうのは1級(?)の鳩峰峠(840m)。如何にもクマが出そうな雰囲気の鬱蒼としたした木立の中を高度を稼いで行く。

正面の峠辺りはガスが掛かっている
高度が上げるにつれて,周囲に霧が漂い始め,さらに細かい水滴が顔に当たるようになる。あまつさえ路面は濡れ始める。しかも,7月末だというのに寒い,..。

多分,皆さんが嫌いな鳩峰峠の九十九折りの道,...。こんな画面を見るとちょいとうんざりする。後で,こんなのはまだ可愛いと思えるようになるけど。

スタートから2時間弱でピーク着。全く停まらずにピークを通過。寒いし,霧雨降ってるし,..。
福島側に下り始めるとはっきりと「小雨」。道は完全ウェット。巻き上げられた水が脚を濡らす。しかも,寒い,寒い,..。摺上川ダム辺りも降ったり止んだり,サルがいたり。飯坂温泉まで来るとようやく雨から逃れられた。しかし,この程度の標高でこの状態では,これから向かう標高 1600m の浄土平はどうなるんだろうと少々気が滅入ってくる。飯坂温泉のところのセブンイレブンに8時到着。女房に定時連絡を入れて,おにぎりを購入して,でかいライクラサコッシュに放り込んで直ぐにスタート。
今日は雨具やら防寒具を入れた大きいサイズのライクラサコッシュを肩からぶら下げている。小さいものに比べて長いので身体の前方に垂らすと,ペダリング時に膝がぶつかって少々鬱陶しいので,後ろに回して背負うような感じで。走りながら,おにぎりやら塩飴やら,その他をモソモソと補給し続ける。

フルーツラインを磐梯吾妻スカイラインへと向かう。が,雲が掛かって吾妻の山はちっとも見えない,..。
信号を右折していよいよ登りに掛かる。ここを主戦場にしている方々は姥堂から計測するらしいが,タイムに拘るような「若さ」は既に持ち合わせていない。適当に時計を眺めて,「ああ,9時少し前だな」と。

凶悪極まりない無産水消雪区間をクリアする。11%の標識があるが,どうも,体感的にもう少しあるような感じ。スピードは 7~8km/h まで落ちるのはお約束。この辺りからかな,腰痛が出始めたのは,..。このコース内で,高湯までの区間がもっともきついセクションの一つ。

無料開放中で係員のいないゲートは,やはりどこか寂しげだ。この前に,如何にもというスタイルの,速そうなヒルクライマーにズバ〜〜ンと抜かれた。
ここからはひたすら「忍」の一文字。腰は痛いわ,ケツも少々痛いわ,..。道路に「標高1000m」のペイントがあったので,Garmin を見ると,あれ? 777m?おかしいなと思いつつ先に進むと,いきなり表示が 1780m になった。有り得ない。何が原因かはわからないけど,お陰で変なログデータになってしまった。桧原湖付近では,まともな表示に戻っていたけど。
天狗の庭とかいう辺りで,後ろからスタスタという足音が聞こえ,振り向いてみれば,..ランナー。こちら 8~10km/h ほど,向こうは 12km/h ほどか。恐るべし。

ようやく先が見えた。それにしても,ガスが掛かって,えらく寒い。

こんな標識にもめげずに,深呼吸しつつピークを目指す。約2時間掛かって,浄土平到着。なぜか,ガスが晴れて青空が見えた。気温も高く暖かい。

ここまで100kmで所要時間は6時間。なので,ここが頂上ゴールでも 15km/h は越えており,ブルベ的には完走条件をクリア。観光客もそこそこいた。

頑張ったご褒美に,ちょっとの間だけガスが晴れてくれた。一切経山の噴気は少し減ったかな?

まあ,証拠というか,お約束の写真を撮影して,直ぐにダウンヒル。この辺りが暖かかったので,油断して,なにも身に付けずに下り始めたが,間もなくガスの中に突入し,今度は寒さに震えながら下る。指付きのグローブもレッグウォーマも必要な感じ。途中でどうにも我慢が出来なくなり,ウィンドブレーカ兼用で持ってきた簡易雨具を着用。そのまま中森からの分岐をレイクラインに向かう。晴れてきて,今度はかなり暑い。この辺りで,同じポルシェ軍団に何度も抜かれた。

暑くなった中を道路最高地点に到着
下って行って,剣ケ峰のセブンイレブンで本格的補給を摂る。ここで12時半なので,ここからゴールドラインを越えて,ここに戻り白布峠を越えるノーマル GFF のルートは楽勝である。12時間掛からないと思う。もう,あの程度の負荷では満足できない。ここでナポリタンやらおにぎりやらコーラやらをガッツリ補給して後半戦に備える。なにしろ,この後には「ラスボス」的な金澤峠が控えている。1時少し前にリスタート。
やはり,1000m を越えるとガスが出始め,寒さを感じるようになる。小金平は,案内板のところからだと磐梯山は少し見辛い。ちょっと後方の道の右側からだと少しマシ。

ピーク到着。とっとと下る
県道7号線に合流して,喜多方方面にひたすら下る。途中で,先だっての 600km の試走のときにミスコースした交差点を通過(笑)。ガンガン下って,やがて右折してしばらく走ると,いよいよ金澤峠までの中道地林道の塩川口に到着。分岐には,こんな看板が,..。

明日まで交通規制らしい。昨年のバスの係員とのやり取りが思い出される。まいったなぁ,この峠を外すと,今日のコースはまさに画竜点睛を欠くものになってしまう。行けるところまで行ってみようと登り始める。
3キロほども登ったところに,今度はバリケード。昨年と一緒。
強行して,上でもめたりするのもイヤだなと思い,撤退しようとした時に,下からおじさんクライマーが現れた。「こんなの乗り越えればいいんだよ」という「乗り越えの常連さん」の言葉に勇気づけられ(?),バリケードを突破。訊けば,今年は車両規制に関して特にやかましいらしい。ここを登って雄国沼の展望台の方には行かずにピストン走行すれば問題ないとのこと。なるほど。おじさんクライマーは,鍛え上げられた脚を持っているようで,あっという間に見えなくなった。こちらはマイペースで登る。
それにしても,この峠は何回登っても辛い。速度は 7〜8キロ。この速度だと顔の周囲に虫がまとわりつき,鬱陶しくて仕方がない。緩斜面でスピードを上げてみると,やはり 13km/h とかそれ以上のスピードだと顔の周りの虫は一気に減る。速い人はより快適に登れるという図式である。こっちは,時折顔の周囲を飛ぶ虫どもを手で払いつつ,荒い呼吸を続けることになる。そして,腰が痛い。時折,ダンシングして,ヴォクレールの如く,腰をクネクネと振ってみると,腰の周囲の筋肉がリラックスするようで少しだけ楽になる。腹筋,背筋,腰周りの筋肉などいわゆる体幹部分の筋持久力のようなものが,長いヒルクライムを何本もこなすには必要な気がする。でも,体幹トレーニングって,地味で辛いんだよね。
で,この道端のコンクリートブロックが見えたら,いよいよ大詰め。ここで始めて自転車から降りて写真を一枚。ここまでの登りで自転車から降りたのは,ここが初めて。ここからの景色を見せることが出来たマシンは,COLNAGO と NAKAGAWA だけかな。今度,COPPI も連れてきてやろう(笑)。

喜多方が一望
ここを過ぎると最後の 14% 区間。ヒーヒー言いつつ登る。林道の看板のところまで来ると,おじさんクライマーが休憩していた。訊けば,坂下の方らしい。どこから?と訊くので,「米沢から」と応えると「そりゃ,大変だなぁ」と。ここまでどういうルートを思い浮かべたのかは知らないが,今回走ったルートを思い浮かべることはなかろう。こちらも面倒くさいので説明はしなかったが。本当なら金澤峠の道標と自転車を撮りたかったが,バスの世話係のおじさんともめたりするとイヤなので,ここでUターン。スタート地点まで下ると午後4時。ここでお互いお気を付けてとおじさんと別れた。

ここが噂の恋人坂である。
R459に出て,桧原湖方面に向かう。大塩温泉の鈴木屋さんで,いつものように補給。ランドヌールの定番,ガリガリ君をかじりつつ一息吐く。ふと壁を見ると,なんとも魅力的な浴衣美人が微笑んでいる。どこかで見た顔だなぁとよくよく眺めてみれば,モデルは唐橋ユミさんだった。メガネ外しての撮影だったのね。この笑顔に元気づけられた(笑)。
いよいよ,残りの峠は二つ。まずは,旧米沢街道の大塩&蘭峠だ。峠に掛かったのは午後5時ちょい過ぎ。ここも途中に 10% オーバーが結構あり,腰痛をごまかしつつ,8 - 10km/h でヘロヘロと登る。

いつの間にか,こんな立派な道標が設置されていた
大塩峠を越えて下った辺りで,道端に沢水を見つけて小休止。顔を洗ってサッパリした。飲めると思うが,ちょいと心配なので止めておいた。
蘭峠を越えて,桧原湖に降りる。桧原湖を時計方向に回り,早稲沢に着いたのは,午後6時30分ごろ。早稲沢の商店の自販機で最後のカンフル剤を注入。いよいよ残りは白布峠。どこまでスピードが落ちるかと戦々恐々だったが,意外に 8~10km/h ほどで淡々と登れた。まだ,頑張れることに我ながら驚く。終盤になると,体重が多分2キロほども落ちているだろうから,その辺りもほんの少しだけ楽に上れるようになる理由かも知れない。午後7時15分頃に白布峠着。峠,コンプリートである。裏磐梯は雲海の下であり,素晴らしい夕暮れの景色を見ることが出来た。
景色を眺めつつ,しばらくボーッとしてからダウンヒル開始。ここで落車したりしたら元も子もないので,慎重に下る。夜の峠からの二十数キロの下りはなかなかにストレスフルだった。いくら匠光学の強力ライトとは言っても,40km/h オーバーで下ると,視力も悪いので路面に全然目が追い付かない。しかも,白色の LED の光だと路面の凸凹がわかり辛い。そんな訳で,精々 40km/h 弱のスピードで大人しく下る。ブルベの最中に金精峠の下りで鹿と衝突した知り合いの話などを思い浮かべながら,頼むから野生の動物が道に飛び出したりするなよと祈りつつ。 でも,案外,こんな状況だと野生動物よりも,人間に出会う方が怖いんだけど(笑)。
そんなこんなでようやく8時過ぎに自宅着。距離 260km ほど。獲得標高 5500m ほど(ルートラボよりも少し少ない)。所要時間15時間ちょっと。一応,15km/h 以上を達成。27T を装備したが,ほとんど使わなかった。27T にすると,少しだけ楽になるんだけど,ケイデンスが上がらないので,スピードは遅くなるという,..。そんな訳で,我慢して 25T で走っていた。
今回は大きめのライクラサコッシュを使ってみたが,補給食だけなら小さな方が使いやすい。さらに,水が全く足りなかった。やはり,夏の山岳は,気温が低いとは言えども,かなりの水の量が必要で,ハイドレーションは不可欠と思われる。雨具などはオルトリーブのサドルバッグ,ツールボトルと1ボトル,そしてハイドレーションというスタイルが真夏の山岳での正解か。先週のプチ山岳で耐暑特性が向上していることはわかったので,これで一応完走できそうな目処は立った(のか?)
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